これまで、「アクセス解析の都合で、デザインやコンテンツを変えるのは良くない」という信条でやっていたのですが、最近はちょっと考え方が変わってきまして、「トラッキングができるようにしておくこと」がとても重要じゃないかと思うようになりました。
ここでいう「トラッキングができるようにしておくこと」というのは、ページにアクセス解析のタグを埋め込んでおきましょうとか、バナー広告をクリックしたという情報をサードパーティクッキーに保存しておいて云々とか、そういうお話ではありません。
例えば、ブランドサイトにおけるユーザの購入意向やブランド好感度の変化など、アクセス解析では分からないと言われていて、かつそのサイトにとって重要なゴールになるような指標については、「分かるようにする」ことに注力していく必要があるのではないかと思っているのです。
多くのFAQページ(よくある質問ページ)で見かける、「この質問は役に立ちましたか?」というフィードバックの仕組みは、まさにTrackabilityを意識した形です。
他にも例えば、レストランのサイトであれば割引クーポンをダウンロードできるようにすればサイト訪問者の来店意向を知ることができますし、ドッグフードのブランドサイトであれば試食サンプルを請求できるようにしておくことで、購入検討者とそうでない人を区別することが可能です。
Trackabilityを意識する、すなわち成果を数値化して可視化するということは、Webサイトやコンテンツの価値を正しく評価して、適切な投資を行う上で非常に重要です。そして世の中には価値が可視化されていないがために、企業の経営層やマーケティング戦略担当者に忘れられてしまっているマーケティング資産が、まだまだ多く眠っていると感じています。
そしてもっと話を広げると、これはWebやデジタル領域だけの話ではなく、今後O2Oやトランスメディアなマーケティングが広がったり、OnlineとOfflineを含んだアトリビューション分析が加速するに従って、メディア間の移動をトラッキングできるようにしておく、という意味において重要になってくると思います。
これまで私のいるWeb制作の現場では、Trackabilityについてほとんど意識されていなかったのではないかと思います。もちろん、例えばECサイトのようにサイトの性質上トラッキングすることが当たり前の場合はありますが、そうでない場合に「わざわざトラッキングできるようにすることに注力する」というケースは非常に少ないと思います。
しかしながら今現在でも既に、企業の広報やWebマーケティング担当の方々には、数値化された成果の提示がより強く求められるようになっていると思いますし、この流れは今後より一層強くなっていって、Trackabilityを意識する必要性を実感するケースが増えてくるでしょう。
そんなに遠くない未来に、すべてのマーケティング施策にTrackabilityという要素が必須条件になるような時代がくるのではないかと思いまして、アクセス解析を仕事にしている私にとってはとても喜ばしい限りでございます。わくわく。