ほとんどの人にとってどうでもいい話かも知れないのですが、なぜWeb制作会社で働いている私が今インバウンドマーケティングに興味を持っているかを語らせていただこうと思います。
予めお断りしておくと、この記事には、
- インバウンドマーケティングとはどういうものか
- なぜ今インバウンドマーケティングが話題になっているか
は書かれていません。
それについても語りたい気持ちはあるのですが、マーケティングエンジンさんのサイトや、こちらの記事や、こちらのまとめなどなどをご覧いただければご理解いただけるかと思いますので割愛します。
この記事では、インバウンドマーケティングが今後もたらすであろう恩恵の一部について、Web制作会社で働く人間の期待も込めて語らせていただければと思っております。
インバウンドマーケティングは「生きていないWebサイト」に熱い血を流してくれる
先日の飲み会で会社OGの先輩が「コーポレートサイトは役に立たない、意味が無い」と仰っていて、酔った勢いから猛烈に反論しつつ、「Webの作り手が役に立たないと思っているなんて…」と、とても悲しい気持ちにもなりました。
でもそう思われる気持ちがわからないでもないです。コーポレートサイトに限った話ではなく、目的やゴールやマーケティング上での役割が明確でないWebサイトは残念ながらたくさんあり、一体全体ビジネスにどんな貢献をしているのかが分からずに、役に立たないと判断することもあるかも知れません。
しかし、私はそれらのサイトが「本来役に立たないもの」ではなく、「それに関わる全ての人が寄って集って役に立たないものにしている」と思っています。つまりやり方次第で役に立つのです。
そして、そのやり方の一つがインバウンドマーケティングだと思っています。
インバウンドマーケティングは、これまで役に立たなかった「生きていない」あるいは「活きていない」Webサイトに熱い血を流して役に立つWebサイトにしてくれる、Web制作の業界にとっての救世主のようにも感じています。
なぜインバウンドマーケティングがそれほどまでにすごいのか。
私は2つ理由があると考えています。
インバウンドマーケティングは局所的なマーケティングではないから
インバウンドマーケティングは、例えば「検索エンジンマーケティング」や「オウンドメディアマーケティング」などの”局所的”なマーケティングとは違い、それらを統合して有機的に連携させていく、より広い範囲のコンセプトだと思います。
そして、それらを統合して有機的に連携させるには、当然ですが必ず戦略が存在します。消費者に「get found」されてから購入に至るまでの長いプロセスに、必ず統合されたマーケティング戦略が必要になってきます。
ここがとても重要です。役に立たないと思われているWebサイトは、この統合されたマーケティング戦略の中に組み込まれていないのです。役に立たないのではなく、そもそも役割を与えられていないのです。
インバウンドマーケティングが今後主流になってくれば、Webサイトは必ずマーケティング戦略の中に組み込まれます。それについては次で詳しく。
インバウンドマーケティングでは、コンテンツが重要視されるから
インバウンドマーケティングは消費者に「get found」されるためのコンテンツや、リードを獲得するためのプレミアムコンテンツが必要になります。
それはブログのような形で提供されることになると思いますが、その提供場所としてコーポレートサイトが中心的役割を果すことになると考えています。
そうなると、代表の挨拶や商品カタログやアクセスマップしかないコーポレートサイトではダメだということに気づくのは難しくありません。
インバウンドマーケティングの戦略の中に組み込まれたコーポレートサイトでは、単なる会社情報の提供サイトではなく、ブログを取り込んでメディア化していくことになるだろうと思います(オウンドメディア的なもの)。
例えば自社のビジネスの性質上Webサイトが購入から遠い位置にあったとしても、見込み客(warm prospect)が欲しがる情報を提供する場としてWebサイトには重要な役割があるわけです。
その役割に気づけば、今まで霧がかかっていた見込み客の顔がはっきり見え、彼・彼女らにWebサイトを通じて何を得て欲しいか、すなわちWebサイトのゴールを明確化できます。
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つまりは、インバウンドマーケティングが今後広く普及してくれば、すべてのコーポレートサイトは必ずマーケティング戦略の中に組み込まれ、メディアとして生まれ変わって明確な役割を与えられていく、そういう風に考えているわけでございます。
と、いろいろと勝手に考えてみました。是非みなさんのご意見も聞かせていただければ幸いです。
良い記事をありがとうございます。僕も今までのウェブサイトは、商品カタログみたいなもので、ユーザー/お客さんの事を考えてなかったと思います。
日本では、WEB担当者、WEB制作会社という呼び名がありますが、こういう呼び名も変わった方がいいと思います。ウェブはマーケティングの中心になってきていて、それを担当する人達なんですから。外資系メーカーのように、デジタルマーケティングと呼ぶのが良いかと思っています。
宗像さま
コメントありがとうございます!
> 日本では、WEB担当者、WEB制作会社という呼び名がありますが、こういう呼び名も変わった方がいいと思います。
仰るところは私も同感です。
WEB制作会社について自分自身の反省も含めて言わせていただければ、「制作」という言葉を使って自らの責任範囲を限定してきたというところは、少なからずあると思います。
全てのWEB制作会社がそうだとは言いませんが、そういうスタンスのWEB制作会社は今後生き残っていけないと思いますし、「WEB担当者」がいるような企業の方々に、WEBにはもっと価値があるということを伝えていく立場にならないといけないと感じています。