金. 4月 26th, 2024

よく企業のWeb担当の方から、「うちのサイトはECサイトではないので、KPIと言ってもページビューやページ滞在時間とかですね」なんていうお話を聞きます。
このようなお話をされる方の多くは少し眉が曇りがちで、「こんな指標ぐらいしかKPIに設定できないから仕方なく」という感じが見受けられます。

ページビューやページ滞在時間、あと訪問別ページビュー数など、まとめると「どれぐらいページが閲覧されたか」という指標ですね。
果たしてこのような指標がWebサイトのKPIになるのでしょうか。

メディアサイトなど一部のサイトではページビューが重要な指標になることがありますが、ほとんどのWebサイト、とりわけコーポレートサイトやブランドサイトなどKPI設定が難しいとされているWebサイトでは、このような「どれぐらいページが閲覧されたか」という指標はKPIにはなりません。

「なりません」なんて断定的に言うと批判を受けるかも知れませんが、私がなぜそう考えているのかを説明していきたいと思います。

Webサイトのゴールが「情報の理解」や「気持ちの変化」

コーポレートサイトやブランドサイトの担当者さんに、「Webサイトの目的・ゴールは何ですか?」と尋ねると、多くの場合は商品理解・ブランド好感度向上・キャンペーンの告知などを挙げられます。

これらはユーザの「情報の理解」や「気持ちの変化」であり、具体的なアクションを伴わないゴールです。このゴール設定が間違っているわけでは決してないのですが、具体的なアクションを伴わないために、KPIを設定しにくくさせているというのは理解しやすいところかと思います。

そして、「情報の理解」や「気持ちの変化」をどう計測するのかという問題の落とし所としてページビューやページ滞在時間をKPIに設定されるのかと思いますが、これらの指標では「情報の理解」や「気持ちの変化」は計測できません。

なぜなら、それらの指標は「情報の理解」や「気持ちの変化」が起こる前の出来事だからです。

ECサイトを例にして考えてみる

ここでKPIが設定しやすいECサイトを例にして考えてみます。

当然のことながら、ECサイトでも「情報の理解」や「気持ちの変化」は起こります。例えば商品詳細ページを読んで商品に対する「理解」が深まり、買いたいという「気持ち」の変化が起こります。そしてカートに入れるボタンをクリックして商品をカートに入れます。

この場合アクセス解析で計測できる指標は、商品詳細ページを読んだ(ページビューやページ滞在時間)ことと、カートに商品を入れたことだけです。

ここで2つポイントがあります。

1つ目は、

商品詳細ページを読むことは、「情報の理解」や「気持ちの変化」が起こる前に起きている

という点です。それはつまり商品詳細ページを読むことが「情報の理解」や「気持ちの変化」のきっかけになっているものの、理解や変化が起こったことの証明にはなっていないということです。商品詳細ページを読めば必ず「情報の理解」や「気持ちの変化」が起こるというわけではありません。

2つ目は、

「情報の理解」や「気持ちの変化」自体を計測することはできず、その次のアクション(カートに入れる)によって計測をしている

という点です。これは、ECサイトでも具体的なアクションを伴わない事象が起こったかどうかは計測できないため、その次に起こるアクションでもって計測するしかないということを表しています。

「情報の理解」や「気持ちの変化」の次のアクションがKPIがになる

ということでここまで書いてきた通り、Webサイトのゴールが「情報の理解」や「気持ちの変化」であるならば、その次のアクションが必要でそれがKPIになるのです

しかしながら、多くのコーポレートサイトやブランドサイトでは、その「次のアクション」が用意されていません。なので、KPIに設定すべき指標が見当たらず、KPIの設定が難しいサイトということになってしまうのです。

次のアクションが用意されていないサイトというのは、ECサイトであればショッピングカートが用意されていないのと同じです。Webサイトの必須要素として「次のアクション」を用意しておくべきなのです。

次のアクションをどう設定するか

ECサイトならショッピングカートが次のアクションになるので簡単ですが、それ以外のサイトではサイトで扱っている商材やビジネス成果あるいはマーケティングの目標、想定ユーザなどによって次のアクションは様々です。

例えば、サンプル請求であったり、取り扱い店舗検索であったり、説明会予約であったり。これはケース・バイ・ケースで考えていくしかないと思います。

ここでは次のアクションを設定する上で抑えておく必要があるポイントを2つご紹介します。

「情報の理解」や「気持ちの変化」が起こったユーザのほとんどが自然と行う/やりたくなるアクションであること

よくFAQページに「このFAQは参考になりましたか?」というフィードバックの仕組みがありますが、ほとんど使われてないですよね。あまりにも使われないアクションだとデータとしての信ぴょう性が低くなってしまいますので、「ユーザが使いたくなる/やりたくなるアクション」を設定することが重要です。

ビジネス成果やマーケティングの目標に繋がるアクションにする

例えばFacebookのいいね!ボタンを次のアクションに設定するとして、いいね!してくれた人がWebサイトに掲載されている商品を探しに近くの店舗に来店してくれるかというと、あまり期待ではないでしょう。

来店を促すことが目標となるのであれば、店舗で使えるクーポン券のダウンロードや最寄りの取り扱い店舗が検索できるシステムおよび地図の印刷などが次のアクションになると思います。

Trackabilityについての考えがまとまってきた

今回のこの話も、実は前々からずっと考えているTrackabilityの延長線なのです。

私はWeb制作会社でアクセス解析をやっている身なので、多くの企業やWeb担当者さんにWebサイトの価値を正しく理解してもらいたいという思いが強くあります。

そのためには、Trackability、正しく価値を計測できるようにしておくことが、とても大切なのです。
多くのWebサイトが正しく価値を評価され、Web担当者さんの社内的な立場が向上しますように。

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